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Norikazu Takahashi Personal Web Page

その他の話題

在宅勤務

岡山大学では4月17日に新型コロナウイルス感染拡大防止のための活動制限指針が示されました.それ以前から学部生の登校は禁止されていましたが,大学院生の登校も禁止になり,教員の研究室での活動についても,オンライン授業のための必要最低限の立ち入り以外は原則禁止になりました.私自身は1学期に授業を担当していないため,必然的に在宅勤務になりました.

在宅勤務への移行が決まった日,研究室の4年生のゼミをどうするかで悩みました.私の研究室では毎年4月から7月にかけて週に2回のペースで4年生と洋書の輪読を行っています.昨年までは,大きなホワイトボードが備え付けられた部屋に参加者全員が集まり,口頭による説明で不十分な場合にはホワイトボードに数式や図を書いたりして議論を深めていました.今年はオンラインで開催することになり当初は不安がありましたが,私がホワイトボードに数式や図を書いて説明し,それをウェブカメラで映して自宅や下宿先にいる学生に見せるようにしたため,これまでと近い形で進めることができていました.しかし,在宅勤務になるとそうはいきません.

即席の脚付きホワイトボード
即席の脚付きホワイトボード
ゼミが明日に迫っていたので,岡山駅近くのホームセンターに行って壁掛けタイプのホワイトボードと洗濯物干しとS字フックを購入し,即席の脚付きホワイトボードを作りました.自室の構造の関係で脚付きタイプのホワイトボードが欲しかったのですが,店内にあったのは壁掛けタイプのみで,脚付きタイプは取り寄せに一週間掛かるとのことでした.ホワイトボードが固定されていないため書くときに少しガタガタするのが難点ですが,それを除けばまったく問題ありません.出費も脚付きホワイトボードを買うよりもかなり安く抑えられました.

翌日のゼミで早速ホワイトボードを利用しました.デスクトップPCのディスプレイにウェブカメラを取り付け,私の背後にホワイトボードを置き,必要に応じて数式などを書いて説明しました.学生にどの程度はっきり見えているのか正確にはわかりませんが,ホワイトボードを見て学生達は納得していましたので,問題ないのだろうと思います.

現在,大学の研究教育活動には様々な制約があります.教員はその中でできることをやっていくしかありません.新型コロナウイルス禍が一刻も早く収まり,学生達の活気溢れる賑やかなキャンパスが戻ってくることを切に願いつつ,自宅で即席のホワイトボードセットを使ったゼミを続けていきます.

(2020/4/25)

ブラックモンブラン

岡山大学生協のピオーネショップにはブラックモンブランがあります.これは佐賀県にある竹下製菓が製造しているアイスで,九州では知らない人はいないほど有名です.どのコンビニやスーパーでも購入できます.熊本生まれの私も小さい頃から大好きです.

2019年の7月だったでしょうか.ピオーネショップのアイス人気投票でブラックモンブランが1位になりました.岡山ではあまり知られていない九州生まれのアイスが岡大生に愛されていることを知って嬉しくなり,その日の帰宅後,同じ九州出身の妻にそのことを伝えました.それからしばらくして,ブラックモンブラン誕生50周年を記念して竹下製菓が「思い出のエッセイコンテスト」を実施していることを妻から聞きました.ちょうどお盆休みの最中でしたので,私とブラックモンブランの関わりや人気投票のことをエッセイにまとめて応募しました.結果は残念ながら落選でしたが,論文と同じで誰にも読まれず消えていくのは悲しいので,恥を忍んでここに掲載します.

ブラックモンブラン

熊本の実家近くの駄菓子屋にはいつもブラックモンブランがあった。当時は五十円だったと思う。小学生の私は日曜日になると百円玉を持って出掛け、日が暮れるまで近所の友達と缶蹴りや野球をして遊んだ。遊びの合間にみんなで駄菓子屋に行ってお菓子を買うのだが、お小遣いの半分を一気に使うのは贅沢に感じられ、安いお菓子ばかり買っていた。たまにしか買えないブラックモンブランは高級品であった。

それから約二十年後、福岡で仕事に就き家庭も築いた私は、子供の頃の反動か、頻繁にブラックモンブランを買った。昔と変わらず美味しかった。コンビニのレジにブラックモンブランを持っていく際の気恥ずかしさはあったが、それに勝る美味しさがあった。しょっちゅう買うものだから当たり棒も集まり、何度もブラックモンブランと交換したし、クオカードも二回ほど頂いた。

六年ほど前から家族と岡山で暮らしている。転居後間もなく、この地域のコンビニやスーパーにブラックモンブランがないことを知った。見知らぬ土地に来たことを改めて実感し、寂しさを覚えた。そんな中、勤務先の大学の売店でブラックモンブランを見つけた。それ以来、学生の目が気になって買えないものの、売店に行く度に横目でその存在を確認している。先日、その売店のアイスクリーム人気投票でブラックモンブランが1位になった。幼馴染みが同じ土地で頑張っているようで嬉しかった。久しぶりにブラックモンブランを食べたくなった。

大賞作品や入選作品は竹下製菓のウェブページに掲載されています.どれもアイスの思い出が情景豊かに書かれていて素晴らしいと思うとともに,九州の人達のブラックモンブラン愛を再認識しました.

(2019/12/29)

自然数の集合は非可算?

昨年度から「工学安全教育」という講義の一部を担当しています.私の担当部分の主要テーマは「ソフトウェアの万能性と自動化の限界」であり,ソフトウェアは万能でないということを停止性判定問題を通して説明します.その中で対角線論法を用いるのですが,本日の講義終了後に受講生のA君(情報系学科1年生)から「対角線論法を用いると自然数の集合が非可算であるということが証明されてしまいます.この証明のどこが間違っているのでしょうか?」という質問を受けました.A君の証明は以下の通りです.

【A君の証明】各自然数の最上位桁の左には見えない0が無限個並んでいると考え,各自然数を0,1,...,9の無限列に変換します.例えば231は...0000231に変換されます.いま,自然数の集合は可算であると仮定すると,これらの無限列には1,2,3...と番号をつけることができます.そこで
...000001 : 1
...000002 : 2
...000003 : 3
...
と番号をつけることにします.このとき,右端の数字が2でその他の数字がすべて1である無限列...111112を考えます.この無限列と上の表の1行目の無限列を比べると右端の数字が異なるので両者は等しくありません.また,この無限列と上の表の2行目の無限列を比べると右から2番目の数字が異なるので両者は等しくありません.以下同様に,無限列...111112は上の表のどの無限列とも等しくありません.これは番号のつかない自然数が存在することを意味しています.したがって自然数の集合は非可算です.(証明終)

自然数の集合が可算であることは自明です.しかし,A君の証明も正しいように思えます.実際,私はその場で証明の間違い指摘することができず,「面白いことを考えますねぇ」,「不思議ですねぇ」,「どうしてでしょうねぇ」,「後でじっくり考えてみましょう」などとお茶を濁し,そのまま講義室を後にしました.

講義から4時間ほど経った午後8時過ぎ.ある会合の懇親会に出席した私は,大学周辺を千鳥足で歩きながら,もう一度A君の証明を考えました.適度にお酒を飲んでリラックスしていたのがよかったのでしょう.自宅に着く前に証明の間違いに気がつきました.

【私の回答】A君の方法で各自然数を無限列に変換すると,どの無限列にもある有限の数kが存在して,右からk番目の数字は0でなく,それより左の数字はすべて0となります.一方,無限列...111112においては右端を除いてすべて1ですので,そのような有限の数kは存在しません.このことは無限列...111112がどの自然数にも対応しないことを意味します.したがって,この無限列が上の表に存在しなくても矛盾は導かれません.(回答終)

A君いかがでしょうか?

(2014/12/19)

エルデシュ数

ハンガリー出身の数学者ポール・エルデシュ(Paul Erdős, 1913-1996)は生涯に約1500本もの論文を発表しました.そのうち507本が共著論文であり,彼の共著者は511人に上るそうです.その共著者の多さに着目して考案されたのがエルデシュ数です.これは次のように定義されます.まず,エルデシュ自身のエルデシュ数を0とします.次にエルデシュの共著者511人のエルデシュ数を1とします.あとはnを1以上の整数として,エルデシュ数nの人との共著論文があり,エルデシュ数n未満の人との共著論文がない人のエルデシュ数をn+1とします.例えば,エルデシュとの共著論文はないがエルデシュの共著者との共著論文がある人のエルデシュ数は2となります.

エルデシュ数のことは以前から知っていたのですが,私には関係ないとずっと思っていました.ところがある日,エルデシュ数が2以下の科学者の一覧(Erdős Number Project で公開されています)を何気なく眺めていたところ,私につながりそうな人の名前を見つけました.うれしくなって更に調べてみると,確かに下記4本の論文で Erdős から私につながっていることがわかりました.

  1. P. Diaconis and P. Erdős, “On the distribution of the greatest common divisor,” Technical Report, Stanford University, 1997.
    この論文は Lecture Notes-Monograph Series (2004) に再掲載されているようです.
  2. S. Boyd, P. Diaconis and L. Xiao, “Fastest mixing Markov chain on a graph,” SIAM Review, vol.46, no.4, pp.667-689, 2004.
    DOI: 10.1137/S0036144503423264
  3. S. Boyd and L.O. Chua, “Uniqueness of a basic nonlinear structure,” IEEE Transaction on Circuits and Systems, vol.30, no.9, pp.648-651, 1983.
    DOI: 10.1109/TCS.1983.1085403
  4. N. Takahashi and L.O. Chua, “A New Sufficient Condition for Nonsymmetric CNNs to Have a Stable Equilibrium Point,” IEEE Transactions on Circuits and Systems-I, vol.44, no.11, pp.1092-1095, November 1997.
    DOI: 10.1109/81.641777
つまり,私のエルデシュ数は4ということになります.共著関係のネットワークはやはり小さな世界のようです.

(2014/11/8)

3D画像

2010年が3D元年と呼ばれていることに象徴されるように,3D映像技術がこの数年で急激に普及しました.そこで平成23年度の電気情報工学入門では,3D画像をテーマに掲げ,配属された学生さん達にアナグリフ(赤青メガネ)方式の3D画像を制作してもらいました.使用する機材はデジタルカメラ1台(3D機能はついていません)とノートパソコン1台のみです.1台のデジタルカメラで対象物の写真を2枚(右目用と左目用)撮り,ノートパソコンに取り込んで画像処理ソフトGimpで色と位置の調整をする,という簡単な方法でしたが,予想以上にいい作品ができました.学生さん達の作品の一部を以下に載せておきますので,赤青メガネをお持ちの方はお楽しみ下さい.

anaglyph image 1 anaglyph image 2

(2011/8/12)